ハチミツみたいな恋じゃなくても。


……そう。昨日に続き、石丸くんが迎えに来てくれるものだと思っていた。

だから、どうやって話を切り出そうとか、必死に考えていて……。


「……ねぇ」

あたしはゆっくりと足を止め、振り返った。

すると圭太くんは「ん?」と、少し驚いたような顔をして。

「……」

言うか、ほんの少し迷った。

圭太くんの前で彼の名前を出せば、また何か言われそうだし。

でも……。


「今日、石丸くんは?」


どうせ全部知っているんだから。
あたしの気持ちも目的も知っているんだから。

今さら変に隠したって何の意味もない。


あたしが素直に問いかけると、


「あー……朝日なら、担任の先生に呼ばれてて、それで遅くなるってさ」

意外や意外。

からかうでもなく、圭太くんは真面目に答えてくれた……と、一瞬でも思ったあたしが甘かった。


「あ、愛しの朝日じゃなかったから、もしかして俺、八つ当たりされてる?」

「……」

もう無視。

クルッと前に向き直して、あたしは無言で歩き出す。