ハチミツみたいな恋じゃなくても。


***


「……で、何であんたなの」


放課後。
あたしは今日も高坂高校へと向かった。

昨日、もしかしたら明日も来るかもしれないという話を石丸くんにしていたから、段取りは早くて。

校門の前でまた待っててとLINEで連絡が来たのだけど……。


「うっわ、とうとうアンタ呼ばわりになっちゃったんだ?」

あたしの目の前。

何が可笑しいのかクスクスと笑う相手は……圭太くん。


「喜んでもらえたのなら、これからずっとあんたって呼ぶね」

にっこり笑顔を返して、あたしは校内に足を踏み入れる。

もう何度も来ているから、どこを歩いていけばいいかは案内されなくても分かる。


「えー、何で俺、いつの間に蜂谷にそんなに嫌われちゃってんの?」

ヘラヘラと笑いながら後をついてくる圭太くんに、イラっとせずにはいられない。


何で嫌われているかって、そんなの自分が一番よくわかっているくせに。

……っていうか、石丸くんが迎えに来ると思ってドキドキしていた気持ち、返してよ。