ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「綺麗に終わらなかったの……?」

あたしが聞くと、瞳はこくんと力なく頷いた。

「それが結構しつこくてさ……何言ってもダメで。結局また振り切って帰って来ちゃって……」

「本当にごめん!」と、瞳はまた両手をパチンと合わせる。


「元はと言えばあたしが言い出したことだし、ちゃんと責任持って説明しに行かなきゃなんだけど……」

「ううん、いいよ」

そういうことならと、あたしは首を横に振った。

ただでさえ襲われかけて嫌な思いをしたっていうのに、更にしつこくされている瞳を、わざわざ相手のいる所に連れて行くことなんて出来ない。


「石丸くんにはあたしからちゃんと話すよ」

大丈夫。
彼ならきっと、ちゃんと話せば許してくれる。


「花音ごめんねー、ありがとー」

今回ばかりは本当に反省している様子の瞳。

「これに懲りたら、あんまり闇雲にオトコ探すのやめなよね」

あたしが言うと、素直に「はぁい」と返事して。


「あたしも何年経っても忘れられないくらいの好きな人に出会いたいわぁ」


と、呟いた。