ハチミツみたいな恋じゃなくても。


少し目線を上げてみれば、特に意識もしていないのに目が合う男、男、男。

みんながみんなこっちを見ていて、はっきり言って気持ち悪い。


瞳と他2名の女子も、それに気付いたのか合図するように、密かに頬を膨らます。


そんな顔するんなら、もともと呼ばなきゃ良かったじゃん……って、思うけど。

ちゃんと分かってる。
毎回のように呼ばれる意味。


自分で言うのもどうかと思うけど、あたしはちょこっと顔が良くて。

スタイルも悪くないし、おまけにお嬢さま高校の生徒。

雑誌の読者モデルをやったことなんかもあって、ほんの少し有名だったりする。

だから、あたしの名前は男をおびき寄せる格好のエサ……ってこと。



「やー、でもいきなり蜂谷さんの隣になれるとか、俺ラッキーだわ」

デヘヘと照れ笑いする同い年の男子に、そうですかと返事するのは、心の中だけ。


こんな風にチヤホヤされるのも、初めは嫌じゃなかった。


でも、いつの間にか飽きたっていうか、

くだらないなぁ……って。