「そっかぁ……」
教室に沈む、瞳の声。
いつもより随分早く学校に来たあたしは、登校してきた瞳を待ち構えていたように捕まえて、昨日のことを話した。
「いつまでも隠し通せることじゃないし、嘘だってことちゃんと言おうと思うんだけど」
「うん……」
頷く瞳の声のトーンは、昨日に引き続き低い。
触れない方がいいのかもと思ったけど、あたしの話を聞いてから一層表情が曇った気がして、
「……何があったの?」
昨日から何度も言いかけた言葉を、とうとう瞳にぶつけた。
何もないなんてことはない。
瞳の様子は絶対おかしい。
じっと真剣な眼差しを向けると、俯き気味だった顔を上げ、瞳もこっちを見つめて。
「花音、ごめんーっ!」
今にも泣きそうな顔をして、両手をパチンと合わせた。
「え、なに?どうして?」
謝られることをされた覚えはなくて、驚いていると、
「実はね……」
瞳は声を小さくして、話してくれた。



