この人は面白がっているだけだ。

あたしの気持ちを知っていて、面白がっているだけ。


「……圭太くん、変わったね」

「ん?」


ふと思い出す、中学生の頃の圭太くん。

昔はもっと優しいひとだった。


あたしが困っていれば、真っ先に駆け寄ってきて「大丈夫?」って、声をかけてきてくれたのに。

それに……“あのとき”だって――。



膝の上でぎゅうっと握りこぶしをつくる。


いや、だめだ。

今の圭太くんに何を言ったって無駄。

どうせ、どう転がったって、あたしの味方をしてくれるつもりもないんだから。

だったら……。


「とにかく、あたしは諦めるつもりはないから」


ガタンと席を立ち、圭太くんを真っ直ぐに見て、そう宣言した。


「ふーん……せいぜい頑張って」


『どうせ無理だよ』と、言わんばかりに微笑を浮かべた圭太くん。

その顔をキッと睨みつけて、あたしはハンバーガーショップを後にした。