「そっ、そんなの関係ないし!」
瞳がじっとこっちを見つめているのに気付いて、あたしは慌てて背中を向けた。
どこの学校の人だって同じ。
彼氏とか出逢いとか、今はそんなの求めてないんだから。
そう思っていた……はずなのに。
「蜂谷さん噂通り!マジかわいいね!」
「いや、そんなことないです……」
「そんなことあるって!マジ美少女!」
「あはは……」
やけに陽気な歌声が響く、狭い空間で。
あたしはさっき出会ったばかりの隣に座るブレザー男子に、引きつった笑顔を返す。
瞳と少し言い合った翌日の放課後。
学校から最寄りの駅前のカラオケボックスに、あたしはいた。
何で結局こうなってんの……。
自分自身に向け、小さくため息をつきながら、机の上のアイスティーに手を伸ばす。



