ハチミツみたいな恋じゃなくても。


***


圭太くんに番号を教えたくなかった理由。

それは、こうなることを予想していたからかもしれない。



「いらっしゃいませー」

駅前のファーストフード店。
自動ドアをくぐって店内に入るなり、

「蜂谷」

手をひらひらと振って、こっちこっちとばかりに名前を呼ばれた。


「……なに」

店内奥の二人がけのテーブル。

半分にはがっつりセットメニューが乗っかったトレーがあって、あたしは空いていた半分にカバンをドサッと乗せた。


「あ、蜂谷も何か頼んでくる?」

「いらない」


冷たく言い放って、早く話してよと彼をじっと見る。

すると、


「あれ?何か怒ってる?」


わかっているくせに、目の前の彼……圭太くんは言いながらクスクスと苦笑した。