ハチミツみたいな恋じゃなくても。


今、すごく最低なことを考えているという自覚はあった。

だけど、幸せそうに微笑むふたりを目の前にして、負の感情が止まらなかった。


もっとかわいい子だったら良かったのに。

そしたらあっさり諦められたかもしれないのに。


こんな子に奪われてしまったなんて悔しい。

石丸くんの隣は、きっとあたしの方が似合うのに――。



「じゃあ……ごめん。俺、そろそろ戻るから」

大西さんはともかく、石丸くんには聞こえなかった様子。

彼の気にする方へと目を向ければ、サッカー部の部員が続々とグラウンドに出て来ていた。


「あ、うん」

先に頷いたのは大西さん。

あたしも続けて頷こうとした……けど、


「……待って!」


背を向けようとした石丸くんの腕を掴んで、あたしは咄嗟に呼び止めた。


「え……」

少し驚いた表情に緊張する。

でも、このまま終わりなんて嫌。


あたしはやっぱり……諦めたくなんかない。