ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「ほら朝日、紹介してやれって」

言葉が出てこないあたし達を見て言ったのは、圭太くん。


「あぁ、ごめん。こっち、同じ学年の大西で……。こっちは中学の時、マネージャーやってた蜂谷。それから……」

「花音の友達の相原です」

ペコっと頭を下げる瞳。

すると、大西さんの方も頭を下げて、あたしも。つられるみたいにおじぎする。


「相原さんの弟が今年受験らしくてさ。サッカーやってるから偵察に来たんだって」

「へー……そうなんですか」

あたし達に目を向けながら、石丸くんの言葉に相槌を打つ大西さん。

顔こそ笑っているけど、何となく曇った表情に見える。すると、


「朝日ー。ちゃんと大西さんのこと紹介しろよ」

「わっ!」

ポンっと背中を圭太くんに押されたみたいで、大西さんはあたし達に一歩近付いた。

無造作に伸ばされた、肩より少し長い髪が揺れる。

「ちょっと中村くん!」

圭太くんに怒りながら、みるみる顔を赤くする大西さん。

石丸くんはというと、ほんの少し気まずそうな顔をしていて。

それがどうしてなのかは、言われなくても分かった。


中学生の頃、あたしが石丸くんに告白して……フられているから。