ハチミツみたいな恋じゃなくても。



窓の外を見れば、遅咲きだった桜が舞っている。

つい先日、あたし達は高校3年生になった。


うちの学校は、地元では有名なお嬢さま女子校。

進学もそれなりのレベルを求められる。

だから、3年生になったんだし、そろそろ受験勉強に集中するべき……と、思っているのだけど。


「何言ってんの!? 3年生になったから、でしょ!」

華の女子高生も、あと1年で終わりなんだよと、身を乗り出す瞳。


「あー……はいはい。瞳は瞳で勝手にすれば良いでしょ」

「だからもう、花音の名前出しちゃったんだって」

「そんなの知らないよ」


例え親友のお願いだとしても、さすがにこれ以上は付き合ってらんない。

そう思ったあたしは、机の横にかけた鞄を手に取って、席を立とうとした。

その瞬間だった。



「……高坂高校」


ボソッと口を開いた瞳。


「明日会う人達、高坂高校の3年生の男子だよ?」

「……」


何を言われても帰ろうとしていたはずなのに、足が止まった。

その学校には……。