思い出して、眉間にシワを寄せる。
本当ならこの表情、圭太くんにぶつけてやりたかった。
だけど、言いたいことだけ言って、「じゃあ俺も着替えあるから」と、逃げられた。
ほんとムカつく。
人のことを馬鹿にして。
でも、こんなに苛立っているのは……
自分がまだ石丸くんのことを好きだから。
何とも思っていなければ、圭太くんの言葉をこんなに引きずったりしない。
今もまだ好きだから、入り込む隙はないと言われて、ショックを受けている。
圭太くんが言うくらい、相思相愛なの……?
昨日見た光景が、優しく微笑んだ石丸くんの顔が、それを否定しないけど。
でも……でも。
まだ好きだって、思ってしまった。
瞼をぎゅっと閉じれば、浮かぶのは観せてもらった練習中の姿。
キャプテンとして指示を出し、ボールを追いかけ操る姿は、中学のときとは比べものにならないほど、カッコ良かった。
今まで付き合ってきた、ただ顔が良いだけのチャラチャラした男達とは違う。