圭太くんと一緒に、あたしも振り返る。

すると、そこにいたのは紛れもなく……石丸くん。


「圭太、お前今日……」

中学の時と変わらない。
親しさと比例して、けだるそうに話しかける声。

でもそれは、そのまま途中で止まった。

ふと驚いたように目を見開いて。
その瞳に映っているのは、あたし。


「蜂谷……?」

「っ……」


2年ぶりに名前を呼んでもらえた。

たったそれだけのことなのに、胸の奥がカッと熱くなって苦しくなる。


「あ、えっと……久しぶり」

何とか冷静を装って、笑顔で挨拶するけど……全然笑えてる気がしない。

対する石丸くんは未だ驚いた表情のままで。

「久しぶり……って、何で?」

「……」

当然の質問。
他校の生徒のあたしが、どうしてこんなところにいるのか。

まさか言えるわけがない。


「朝日に会いに来たんだって」


そう。素直に会いに来ましたなんて、言えるわけがない……って、え?