何か聞かれても困るけど、何も言われないのも怖い。
だけど、瞳たちがすぐ傍にいる手前、自分からは下手なことを言えなくて……。
あたしは黙って圭太くんの足を追った。
しばらくそのまま歩いて、圭太くんが足を止めた場所。
それは、端と端にサッカーゴールが設置された、グラウンドの脇。
うちの学校にだって、サッカー部は存在していて、ゴールくらいある。
でも、女子校ということもあって、それほど立派な敷地は与えられていない。
だから、野球部の隣のグラウンドに併設された、広い敷地は眩しくて……。
「わぁ……懐かしい」
思わず声を上げていた。
思い出すのはもちろん、中学生だった頃。
授業終わりだとは思えないくらい元気いっぱいに、だけど真面目に、ボールを追いグランドを駆けていた、男子達の一生懸命な姿。
その中でも、特に鮮明に記憶に残ってる。
それは――。
「圭太っ!」
その人のことを、正に考えていた瞬間だった。
聞き覚えのある声が、あたしの隣に立った人の名前を呼んだ。