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「蜂谷さんは部活とかやってないの?」
「あたしは高校に入ってからは何も……」
「へーぇ」
「……」
どうして?
なんで何も言って来ないの……?
決して口には出さないけど、そんな疑問を抱きながら、案内されるがままに圭太くんの隣を歩く。
あたし達は他の学校の制服を着た、全くの部外者なわけで。
普通なら痛いくらいに突き刺さる周りの視線も、今のあたしには気にならない。
知らない人の目なんかよりも、ずっとずっと気になるのは、隣を歩く人が考えていること。
だって……何とも思わないわけがない。
あたしが石丸くんに会いに来たって聞いて、何とも思わないわけがない。
なぜなら圭太くんは、あたしが石丸くんに想いを寄せていたことを知っているんだから。
……それだけじゃない。
圭太くんは――。
「なに? 何か付いてる?」
「あっ、ううん……」
知らないうちに見てしまっていたらしく、あたしはパッと顔を逸らす。