“大人っぽくなった”
昔を知る人の褒め言葉に、嬉しいような恥ずかしいような、くすぐったい気分になる。
でも、そんな呑気な感情は、すぐに吹き飛ばされた。
「それで……朝日に用事があるんだっけ?」
「っ……」
圭太くんの問いかけに、ドキッと鼓動が跳ねる。
「いや、別に用事ってわけじゃ……」
「用事です! 会わせてください!」
「ちょっと!」
急にあたし達の間に入って、手を挙げたのは瞳。
圭太くんはキョトンとした後に、何か確かめるようにこっちに目を向けて……。
あたしは思わず、視線を逸らした。
だけど、この行動こそが間違いだった。
「……いいよ」
「えっ⁉︎」
聞こえてきた返事に、驚いたあたしの声と、嬉しそうに弾む瞳の声が重なる。
「え。瞳ちゃんって実は、石丸って人狙いだったわけ?」
さっきまでとは打って変わって不機嫌になった、“リョウくん”の声。
慌てて首を横に振る瞳への仕返しに、「そうだよ」って頷いてやりたかったけど、そんな余裕もなかった。
圭太くんの視線がずっとあたしに向いていることに、気付いていたから。



