「圭太くん……?」
少し違和感を覚えたあたしは、彼の名前を呼んでみる。すると、
「ごめん、離れてあげられない」
小さく聞こえた声に、息をのんだ。
だって……。
「泣いてるの……?」
「まさか」
圭太くんは即答したけれど、その声もあたしには震えて聞こえた。
「……ずるい」
そんなの、ずるい……。
怒っていたはずなのに、こんなんじゃもう怒れない。
「絶対好きにさせるとか、強気なこと言ってたくせに……」
圭太くんにだけ聞こえる声でボソッと呟けば、
フッと笑った息が耳に届いた。
「言ったなぁ、そんなこと。でもまさか、本当にそうなってくれるとは思わなかった」
「なにそれ……」
「だってさ、ずっと蜂谷のことみてたから。中学んときからずっと」
「……」
圭太くんが言わんとしていることは、説明されなくてもわかった。
石丸くんに恋していたこと。
それを言っているんだと。



