ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「……蜂谷?」

「え? あっ……」


急に黙り込んでしまったあたしを不思議に思ったのか、圭太くんは顔を覗き込んできて。


「う、腕! やっぱり傷跡とか、残っちゃうの?」


ドキッとしたあたしは、誤魔化すみたいに咄嗟に質問していた。

すると「あー……これ」と、呟きながら圭太くんは姿勢を戻す。


「縫ってるし、さすがにちょっとは残ると思うけど」

「そ、そっか……」


何でもないように答えた圭太くんに対し、声のトーンをあたしは落とす。


「なに? 気にしてんの?」

「まぁ……ね」

話を逸らすみたいに聞いたけど、実際問題気になっていることではあった。


やっぱり残るよね……。


「気にしなくても俺男だし、痕くらい全然いいって」

「……」

そう言われても、あたしのせいで……って、思わずにはいられない。


「んー……じゃあ、そんなに気になるなら、蜂谷が俺のことお婿に貰ってくれる?」


目の前には、にんまりと笑う圭太くん。


「は……」

「なーんて。冗談だよ」


あたしが返事するより先に、圭太くんはくしゃっと笑って、「帰ろう」と背を向けた。