ハチミツみたいな恋じゃなくても。



「なーに嬉しそうな顔してんの」


コツン、と軽く頭を小突かれたような衝撃。

振り返って顔を上げてみると、あたしの後ろに立っていたのは……圭太くん。


「う、嬉しそうな顔してなんか……!」

「してたよ。すっげーしてた」

「してないっ!」


白い目をこっちに向ける圭太くんに、あたしは思わず赤くなって否定する。

てかなんで、あたしが悪いことしてたみたいな雰囲気になってんの。


「てゆーか、石丸くんに迎えに来させたの、圭太くんでしょ!?」


そう反論すると、圭太くんは面白くなさそうな顔をして、


「……まぁいいや。行こう」


スタスタと先に歩きはじめた。


「あ、ちょっと待ってよ!」

あたしは慌てて彼の後を追いかける。


少し前を歩く、圭太くんの左腕には包帯。

半袖シャツにより隠されることなく見えるそれは、あのときに出来た傷。


「……ね、もう痛くない?」

「あぁ、もう全然。これも念のためしてるだけで、今日取れると思う」


包帯を見て言う圭太くんの横に並んで、あたしは「そう……」と、呟いた。