ハチミツみたいな恋じゃなくても。



「あいつが……ひかりが、また一緒にケーキ食いに行きたいって言ってた。だから、良かったらまた付き合ってやって」

「え……」


石丸くんの言葉に、あたしは目を大きくして。


「う、うんっ……!」


こくんと力強く頷いた。

すると石丸くんは、フッと微笑む。


「ありがとう。圭太のこと、よろしく」

「うん……こっちこそ、ありがとう」


あたしも微笑んで返事すると、石丸くんは今度こそ背を向けた。


こんなあたしに相変わらず優しくしてくれて、本当にありがとう。

そして、


「さよなら……」


あの日、はちみつ味のキャンディからはじまった、あたしの初恋。


好きで、好きで、仕方なくて。

フラれても、離れても、忘れられなかった。

自分でもどうしていいかわからないほど苦しくて、きっと一生逃れられないんだと思った。


寂しいような、切なさはある。

だけど、胸をぎゅうっと締め付けて、息が出来なくなるような痛みはもう……ない。


友達を大切にする、あなただから好きだった。

自分ですら犠牲にする、その優しさに惹かれた。


……だから、きっと。

どうあがいても、あたしと結ばれる結末は来なかった。


ありがとう、あたしに恋を教えてくれて。

ありがとう……って。