石丸くんとそんな話をしながら、あっという間に着いたのは、サッカー部がこれから練習するグラウンドの辺り。
そこには、ぱらぱらと体操着姿の男子が集まり始めている。
「終わったらこっち来るって言ってたから、この辺で待っててやってくれる?」
「うん」
「それじゃあ……」
そう言って、石丸くんは背を向けようとした。
だけど、
「……あ、石丸くん!」
そんな彼を、あたしは呼び止めた。
振り返った石丸くんは、少し驚いた顔をする。
咄嗟の行動に、あたし自身もびっくりしてる。
でも……何だろう。
このまま別れたら、いけないような気がした。
「あ、の……」
必死に伝えたい言葉を探す。
ダブルデートのあのときのこと、大西さんには謝ったけれど、石丸くんには何も言えていない。
だから、『ごめんなさい』だろうか。
でも、今更謝るのも変かもしれないし、まだ何か企んでるとかって思われるのも嫌だ。
だけど……。
「蜂谷」
言葉を発するのを躊躇っていると、口を開いたのは石丸くんの方だった。



