「花音、花音! 今日これからN高の人達と遊ぶんだけど、ついて来てくんない!?」
放課後。鞄に荷物を詰め込むあたしに、そう声をかけて来たのは瞳……ではなく、クラスメートの女子。
「あ、ごめん。あたし今日は……」
「ダメだよねー。っていうか、花音はもうずっとダメだよね」
断わろうとしたあたしの代わりに、横入りして断ったのは、今度こそ瞳。
「え、なに? どういう意味?」
「そ、れ、は……」
「あ!もしかして彼氏!? 彼氏が出来たの!?」
人の机をバンッと叩いて、乗り上げるクラスメート。
「え? 花音に彼氏? それって本気の?」
「どんな人!? やっぱり超絶イケメン!?」
あたしは何も言っていないのに、恋バナとウワサ好きの女子達があっという間に集結する。
「……」
無言で瞳を睨みつければ、わざとらしく目を逸らされた。
「瞳……」
今日、数学の課題の答えを教えなかったこと、絶対根に持ってるでしょ?
そう言おうとしつつも、口を閉じる。
まぁいいや。
余計な雑談をしている暇は、今はない。



