「逃げれたんなら逃げてよ! こんなの、圭太くんが傷つくの、全然嬉しくない!」
「うん、蜂谷ならそう言うと思ってた。でも」
ポンポンと撫でていた手を止め、グイッと頭を引き寄せられた。
「俺に出来るお詫びって、これくらいしかないから。中学んときのこと、本当にごめん」
「っ……」
「蜂谷に再会して、いつか話さないとって思ってた。俺のせいで……ごめん」
謝る圭太くんの顔は見えない。
だけど微かに。微かに声が震えて聞こえたような気がした。
圭太くんがいなかったら、あたしは石丸くんと付き合えていたのかもしれない。
あたしの初恋は実ったのかもしれない。
でも……だけど……。
「そのことは、もういいよ……」
もしもの展開を考えたら悔しくてしょうがないし、圭太くんを恨む気持ちが全くないかって言ったら、嘘になる。
でも、知ってる。
圭太くんがそのことでずっと苦しんでいたこと。
あのとき、あたしが石丸さんくんに最初にフラれたあの日。
あたしの心の隙間に入って来ようとしなかったのは、だからでしょ……?



