ハチミツみたいな恋じゃなくても。


圭太くんの胸元を掴んで、子どもみたいにしゃくり上げて泣く。

そんなあたしの頭を、圭太くんは抱きしめていた方の手でポンポンと撫でた。


「本当に大丈夫だって。傷、マジで深くないし、刺されたのわざとだし」

「は……?」


わざとって何……と、顔を上げる。すると、


「本当はあれくらいどうにかできたんだけどさ、刺された方が後々安心かと思って」

「え……?」

「ただのストーカーだと、警察ちゃんと動いてくれなかったりすんじゃん?」

「……」

「それに人刺すって、結構トラウマになるよ。案の定かなりビビってたし、もうこんなことして来ないだろ」

「……」

「蜂谷?」


「聞いてる?」と、問いかけられて、あたしはゆっくり口を開く。


圭太くん、それ全然フォローになってない。

だって、それってやっぱり……。


「あたしのため、じゃん……」


他でもないあたしのためじゃない。

なんで、どうして。


「――っ、バカじゃないのっ!?」


こみ上げた感情のまま、声を張り上げた。


本当にバカ。大バカ。
そこまでする意味がわかんない。