ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「大丈夫だよ、傷そんなに深くないから」

「大丈夫じゃないっ!!」


ヘラっと圭太くんは笑うけど、刺された片腕からは真っ赤な血が滴り落ちている。


「待ってね……!」

あたしは圭太くんの傷に動揺しながらも、119番に電話をかけた。


「救急車、すぐ来るから! あたし家からタオル持って……っ!?」


応急処置のため、家に戻ろうとした……のに。


「……いい」


圭太くんはあたしを引き止め、片腕で抱きしめた。


「っ……」

それほど強い力じゃない。

だけど、息が苦しい。


「制服汚れるかもしんないけど、ごめん。許して」


耳元で聞こえる圭太くんの声に、ふるふると首を横に振る。

制服のことなんて、どうでもいい。


「ごめっ……あたしのせいで……」


シャツから香る柔軟剤の香りと、血の匂い。

入り混じったそれに、あたしの心はきゅうっと締め付けられる。


「ごめん、本当にごめんっ……」


謝ったって、傷は癒えない。

取り返しのつかないことをしてしまった。