ハチミツみたいな恋じゃなくても。



「圭太くんっ!!」

「うああああああ!!」


あたしが名前を叫んだのと、男が悲鳴にも似た奇声を発したのと、ほぼ同時。

うずくまりかけていた圭太くんは、急に身体を起こし、


ドカッ!!


男に向かって思いっきり、回し蹴りをした。


「きゃっ!?」

びっくりしたあたしは反射で声を上げる。


だって圭太くんの蹴りは見事に頭の方へと入って、男は軽く吹っ飛んだ。


「やっべ、やりすぎたかも」


倒れたまま、ピクリとも動かない男。

かろうじて呼吸の動作だけは見て取れるから、死んではいない……と、思う。


「まぁ、正当防衛だよな」と、ひとりで勝手に納得しているのは……


「圭太くんっ!」

「ん?」

「んじゃないっ!!」


焦って声をかけるあたしに対し、何とも呑気な返事。


「何やってるの!? 血っ、血が! 救急車!呼ばないと!」

震える手で、ポケットからスマホを取り出す。