ハチミツみたいな恋じゃなくても。



「色々話したいことあるんだけどさ、まずひとつ聞いていい?……なんでそれ、朝帰り?」


見るからに怪しそうな表情を浮かべる圭太くん。

土曜日の早朝に制服で帰宅……。


「っ、友達のところに泊まっただけだから!」


ハッとしたあたしは、声を張り上げる。


「マジで?」

「本当に!」


「他に何があるのよ!」と続けると、圭太くんは「良かった」と、ホッとしたように笑った。

その表情にドキッとして、目を逸らす。


「……で、何しに来たの」


好きだと気付いても、こんな言い方しか出来ない自分が、つくづく可愛くなくて嫌になる。


「昨日のこと、ちゃんと話したいと思って」

「……」

「中学んときのことだけど……」


さっきの声のトーンから一転。

顔を見なくても真面目だとわかる声で話し出した圭太くん……だったけど、


ジャリ……。


ふと聞こえた足音が、話す声を止めた。


そして、ふたりして音のした方を見る。


あたしの家の方向。

道の角から現れた人の姿を見て、あたしは思わず息を止めた。