ハチミツみたいな恋じゃなくても。


***


「ひとみ、瞳」

「……ん、あれ……もう帰るの?」


寝ていた瞳を軽く揺すって起こし、頷く。

壁にかけてある時計の針は、もうすぐ7時を指そうとするところ。


昨日は結局、あのまま泊まらせてもらった。

話していたら、すっかり遅くなってしまったし、目の腫れもなかなか引かなくて。


「夜勤から帰ってきてあたしがいたら、お母さんゆっくり休めないでしょ?」

「えー……そんなことないよー」


ごしごしと目を擦りながら、身体を起こす瞳。

そう言われても、そうですかって長居するわけにはいかない。


「帰るよ」

まだ眠いのだろう、あたしの言葉に「んー……」と、煮え切らない返事をしつつ、


「……大丈夫?」


瞳はあたしの顔を見て、聞いてきた。


「おかげさまで」

瞳にニコりと微笑む。

昨日一晩、話を聞いてもらって、自分の気持ちに気付いたら、何か吹っ切れたような気分になった。