ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「……瞳のくせに、わかった風なこと言わないでよ」

「うわっ」


悔しい、悔しい、悔しい。

いつも頼ってくるばかりの瞳に、自分の気持ちを思い知らされたことも。

よりによって圭太くんのことを好きになっちゃったことも。

本当に悔しいし、あり得ない。


でも、一度気付いてしまえば、溢れるように湧き上がってくる感情。

喉の奥がピリピリと痛くて、苦しい。


いつの間にかこんなにも……圭太くんのことを好きになっていた。



「瞳……」

「ん?」

「あたし、どうしたらいい……?」


偉そうなことを言っておきながら、あたしは瞳に問いかける。

すると、瞳はフッと笑って。


「それはさすがにわかってるでしょ?」


「花音には一番難しいことかもだけど」と、くしゃくしゃとあたしの頭を乱暴に撫でた。


「何よそれ……」


ここぞとばかりに子ども扱いする瞳に口を尖らせながら、ずんと重かった気持ちは少し軽くなった気がした。