意地悪だし、なに考えてるかわからないし、好きになるところなんかない。
そう言い切ってしまいたいのに……浮かんでくる。
石丸くんにフラれたとき、そばにいてくれたこと。
性格悪いとかって言いながらも、否定せず話を聞いてくれていたこと。
あたしなんかと一緒に過ごすために、観たくもない映画を観て、デートプランを考えてくれていたこと。
そして何より……
こんなあたしを、好きだと言ってくれたこと。
「どう? これでもまだ好きじゃないって言い張る?」
「っ……」
「本当は好きだからショックだったんでしょ? 好きになってたから、裏切られてたことがショックだったんでしょ?」
悔しいけれど、言い返せない。
瞳に言われて気付くなんて、そんな……。
「初めはあたしも初恋の人と上手くいけばって思ってた。でも、あの人と一緒にいるときの方が花音、自然体でいいなって思ったよ」
ポンポンッと瞳が軽く頭を撫でる。
あたしは膝を立てて、そこに顔を埋めた。



