ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「……」

瞳の言葉がグサりと突き刺さる。

確かに石丸くんに対する気持ちは、もう過去のものに出来ていた。

でも……。


「あー、もう! じゃあさ、何で今まで圭太くん?だっけ、と付き合い続けてたの?」

「それは、あたしと同じだったから……」


中学生の頃から、ずっと片想いをしていた。

その気持ちは痛いほどわかるから、利用するだけしておいて、ないがしろには出来なかった。


「……本当にそれだけ?」

瞳はあたしの顔を覗き込む。

「何が言いたいの?」

これ以上はまどろっこしくて、あたしは単刀直入に答えを求めた。

すると、


「圭太くんっていう人のこと、好きになってたんじゃないの?」


からかっていたさっきとは違う。
真剣な眼差しで言った瞳の言葉に、思わず息を飲んだ。

だって……


あたしが圭太くんを好き……?


「なんで……」

溢れるように口を開く。
ドクドクと鼓動の音が速くなる。


「好きになるところなんか……」

「本当になかった?」

「っ……」

瞳の問いかけに、きゅっと口を固く結ぶ。