「へー、そっかぁ……。あの人も結局、花音のことが好きだったんだ」
「んー」と伸びをした後に、瞳はさらりと言う。
「男子ってみんな花音のこと好きになるよねー。ちょっと顔が良いだけなのに」
「……」
この子は人の悩みを聞いていたんだろうか。
っていうか、本当に友達？
「……悪かったね」
ちょっと顔が良いだけで、とプイッと顔を逸らすと、瞳は「冗談だって」と笑った。
「冗談とか今いらない」
「わー、もう拗ねないでよー」
ゆさゆさとあたしの体を揺さぶる瞳。
こんなときにからかうとか、圭太くんか……って……。
不意に彼のことを思い出して、再び複雑な気持ちに陥る。
それを知ってか知らずか、
「でもさ、それだけ？ 実は両想いだったってことが悔しくて、そんな顔になるまで泣いたの？」
改めて問いかけてきた瞳に、少し戸惑う。
「それだけ……って」
「うん、もちろんショックな気持ちはわかる。花音、バカみたいにあの人のことしか見えてなかったもんね」
「……」
バカみたいって、何よそれ。
「でも最近は？諦めついてたんじゃないの？」
