「っ、なんでよ……」


まだ中学生だったあの頃、圭太くんはいつだってあたしの味方をしてくれていたと思っていた。

それなのにどうして……っていうのは、あの顔を見ればわかる。


さっき間近であたしを見つめてきた圭太くんの表情は、とても切ないものだった。

まるで今にも泣いてしまいそうな顔で、痛いくらいに気持ちが伝わってきた。


……じゃあ、もっと上手くやってよ。

本気であたしのことを手に入れたいと思うなら、ちゃんと隠してよ。


あたしも圭太くんに負けないくらい、石丸くんのことが好きだった。

だから、たとえ過去のことでも許せない。

本当は両想いだったのに……そう考えると悔しくて、簡単に許すことなんて出来ない。


……でも。

圭太くんを恨むばかりかと聞かれれば、それは違う。

過去のことなんて知らなければ良かった。聞かなければ良かった。


そしたらあたしはきっと圭太くんと――。


「ふっ……っ……」

あたしはずるずるとその場にしゃがみ込む。


溢れる涙は透明なのに、あたしの感情の色はぐちゃぐちゃに混ざり合って。

何色なのか、もうわからない。