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「ごめん、ちょっと遅くなった!」
圭太くんが校内へと戻ってからどのくらいだろう。
よくわからないけれど、再び現れた彼はあたしの肩をポンっと軽く叩いて言った。
「……蜂谷?」
返事もせず俯いたままのあたしに、圭太くんが問いかける。
「本当……?」
あたしは小さく呟いて、肩にかけた鞄の持ち手を、ぎゅうっと握りしめた。
「何が?」
「……」
「蜂谷?」
さっき聞いたことが、頭の中でずっとぐるぐるしてる。
あたしはゆっくりと顔を上げて、圭太くんを見る。
「石丸くんが、あたしのことを好きだったって本当……?」
「……」
「圭太くんが邪魔してたって、本当?」
さっき男子から聞き出した話。
それは、石丸くんもあたしのことを好きでいてくれたということ。
でも、圭太くんが石丸くんにあたしと上手くいくよう協力を頼んで。
石丸くんはあたしのことを諦めた……と、いう話。



