ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「どこか行くの?」

「あ、うん。ちょっと呼ばれたから行ってくる。すぐ戻るから、待っててもらっても大丈夫?」

「うん」


あたしが頷くと「サンキュ」と言って、圭太くんはまた校内へと走っていった。

その背中を見送ってから、あたしは再び校門の壁に寄りかかる。


「……はぁ」

何だかわからないけど、ため息をひとつ吐いた……ときだった。


「あれ? 蜂谷さん?」

「……あっ!」

校門から出て来た人に名前を呼ばれ、目を向けると知った顔の人が立っていた。


「やっぱり蜂谷さんじゃん!すげー!久しぶり!」

テンション高めに話しかけてきた人は、同じ中学だった男子。


「ほんと久しぶりだね!」

思いがけない再会に、あたしも声を弾ませる。


「こんなところで何してんの? あ、もしかして朝日のこと待ってんの?」

「あ、いや……ううん」


中学時代の交友関係の名残りからだろう、石丸くんの名前を出されて少し気まずい。


「石丸くんじゃなくて、圭太くんの方を……」


自然に小声になりながら言うと、男子は目をパチパチと瞬かせた。そして、