あ、もしかして……。
公園で遭遇した、あの男のことだろうか。
圭太くんが教えてくれたって、大西さんが言っていたっけ。
「圭太く……」
「それで、どうだった?」
あの男のことを話そうとした瞬間、圭太くんが問いかけてきた。
「あ、うん。ちゃんと謝ったよ」
「大西、すぐに許してくれたでしょ」
「うん」
「真っ直ぐで、いい奴だったでしょ」
まるで全てお見通しといった感じで、ニッと笑う圭太くん。
「わかってるんなら、わざわざ会わなくてもよかったんじゃない?」
会いに来たのはあたしだけど、部活終わりだし、これなら無理して会わなくてもよかったんじゃないか。
そう思って告げると、
「蜂谷の顔、見たかったから」
「っ……」
ニコッと笑って言われた言葉に息を飲む。
「さらっとそういうこと言うの、やめてくれない?」
「何で? 明るい顔してて安心したけど」
「……」
ニコニコと向けられる笑顔から、顔を逸らす。
暗くなり始めてて良かった。
だって何だか、顔が熱い。



