「あ、あたしがこんなこと言うのは変なんだけど、中村くん本当に良い人だから、上手くいって欲しいと思ってて……」
膝の上で両手をグーにして、改まった様子で話す大西さん。
あたしはその緊張したような姿にクスッと笑ってから、
「うん、確かに優しいね……」
小さく呟いた。
すると、大西さんがこっちに視線を向ける。
「蜂谷さん、思ったこと言っていい?」
「うん?」
「あたし正直蜂谷さんのこと、すっごく苦手だった。あたしのこと見下してるのわかってたし、威圧感があって、すごく嫌だった」
「でも……」と、大西さんは続ける。
「でも、今の蜂谷さんは好き。謝ってくれて、ありがとう」
「……」
あたしは目を真ん丸にする。
驚いたのは大西さんにじゃなく、自分に。
大西さんのこと、あんなに嫌いだと思っていたのに、ありがとうって言ってもらって、好きって言ってもらえて……嬉しかった。
「もし、蜂谷さんと中村くんが上手くいったら……また、ケーキ食べに行かない?」
少し照れた様子で笑顔を浮かべて。
こんなあたしを誘ってくれた大西さんに、「ありがとう」と微笑んで、頷いた。



