「良かったぁ」と、肩を下ろす大西さん。
「前に調理部に入ってるって言ったことがあったでしょ? それね、朝日に振り向いて欲しくて入ったんだ」
「……」
彼女の口から石丸くんの名前が出た瞬間、今までなら嫉妬して、そんな話聞きたくないって思っていた。
だけど今は、大西さんの話に耳をすましてる。
「お菓子作りとかキャラじゃないんだけど、朝日が片想いをしてた子が調理部で……。ちょっとでも好みの女の子に近付きたくて、入ったの」
「もちろん最初は失敗ばっかりで、食べられないようなものも沢山作っちゃったんだけどね」と、大西さんは恥ずかしそうに苦笑した。
「でもね、最近やっとひとりでも、ちゃんと食べられるようなものを作れるようになったんだ。だから、だから……」
大西さんはパッと、あたしの方を向く。
「まだ頑張ってる途中なの。蜂谷さんの言う通り、全然釣り合ってないけど……。でも、まだ頑張ってる途中で、マネージャーはやってないけど、サッカーの勉強だって少ししてる。そりゃあ、顔はどうにも出来ないけど……でも……
好きだから譲れない!朝日のことは譲らない!!」



