ハチミツみたいな恋じゃなくても。


とにかく彼女が来たら、石丸くんのことは諦めたことを伝えて、この前のことを謝ろう。

さすがにあれは、あたしも言い過ぎだったと思うから。

そして……。


フッと頭に浮かべる人の姿。

それは……圭太くん。


大西さんに謝って、全部のことにケリをつけたら、本気で考えてあげてもいいかな……なんて。

今のような弱みを握られての関係じゃなく、本気で付き合ってあげてもいいんじゃないかって、ほんの少し思ってる。


……って、ちょっと待って。


圭太くんと本気で付き合うってなに!
全然想像出来ないんですけど!!


「〜……っ!」

今までの関係が関係なだけに、改めて考えてみれば何だか恥ずかしくなってきて、ブンブンと首を横に振った。


……と、そこに、


「花音ちゃん?」


目の前から降ってきた声。

顔を上げると、ひとりの男の人が立っていた。


「え……」


だ、誰……?

見たこともない知らない人。