「……ひどい」
目を逸らしてポツリ呟くと、「ごめんごめん」と軽く謝られた。
「結局、悪役にはなりきれないんだなーって思って」
「は……?」
言われたことの意味がよくわからなくて、再び目を向けると、
「うん、でも蜂谷のそういうとこ、いいと思うよ」
長い手を伸ばして、圭太くんはあたしの頭をポンポンと撫でた。
「……っ」
その優しい笑顔に、息を飲む。
なに、よ……。
思いっきり笑ってくれちゃったくせに、
「何よそれ……」
あたしは言いながら顔を逸らした。
からかってるのか何なのか、圭太くんの行動はよくわからない。
……でも、一番わからないのはあたし。
どうして、声が震えるの。
どうして……こんなに顔が熱いの。



