「石丸くんのことはもう諦めてる」
さすがのあたしでも、これ以上追い続ける勇気はない。それに……
今はもう随分落ち着いていて、石丸くんのことを考えても、前みたいに胸がぎゅうぎゅうと締め付けられることはない。
実際に会ってはいないから、わからないところはあるけど……でも。
きっともう過去のことに出来るような気がしてる。
……だから。
「……謝りたい、の。その、大西さんに……」
こんなことをあたしが言えば、たぶん圭太くんは……という予想はしていた。
だけど、
「くっ……ははっ」
「わ、笑いすぎだから！」
わかっていた。
わかっていたけど！
声を押し殺そうとして、押し殺せていない。
顔をくしゃくしゃにして笑う圭太くんに、あたしは声を上げずにはいられなかった。
自分でも馬鹿みたいで恥ずかしいと思う。
だから、笑われるのはわかっていたから、圭太くんには頼みたくなかった。
でも他に頼める人なんていなくて。
意を決して、全部知ってる圭太くんに相談したのに。
