やっぱり、なかったことにしたいのかな……。
それとも、キスのひとつなんて何とも思ってないとか……?
ちゃんとした彼女はいたことないみたいだけど、そういう経験が全くないと言われたわけじゃない。
性格はまぁ置いといて、顔は良いからかなりモテるみたいだし、その可能性……ある。
「……」
あ、れ……?
胸の奥の方が何だかおかしい。
苦しいっていうか、モヤモヤするっていうか。
ぎゅーっと押し寄せてくるような違和感に、あたしは自分の手のひらを胸にあてる……と、
「蜂谷?」
「っ!!」
突然呼ばれて、肩をビクッと震わせた。
顔を上げれば、不思議そうに首を傾げる圭太くん。
「何かあった?」
「いや……」
考えていた内容が内容だったこともあって、びっくりして鼓動がドキドキとうるさい。
圭太くんは「そっか」と短い相づちをうった後、
「遅くなってごめん」
肩から鞄を下ろし、あたしの目の前に座った。
そして机の上に置いたのは、鮮やかな黄色と茶色が混ざり合った液体に、ホイップクリームが沢山乗ったドリンク。



