「で、今日はどこ行くのー?」
「別にどこにも行かないって」
『放課後空いてる?』って、簡単にLINEで呼び出されて、その辺のファーストフード店とかで何でもない話をするだけ。
そんなのが、ここ2週間くらいの間に数回あった。
いつからかといえば、あの日から。
圭太くんの誕生日だったという、あの日――。
「じゃあさ、どこまで進んだ?キスくらいはもうした?」
「っ!?」
バサバサッと音を立てて、教科書が落ちる。
「……え、マジで?マジでしちゃったの!?」
「ちっ、違う……!!」
慌てて否定するけれど、時すでに遅し。
思いっきり動揺してしまったあたしを見た瞳は、「へぇ……」と面白いものでも見つけたような顔をして。
「だからあれは、そういうのじゃなくて!あっちがいきなり……」
ムキになって言い返してハッとする。
「え、いきなりされちゃったの!?」
……やってしまった。
キラキラと目を輝かせる瞳を目の前に、押し寄せる後悔。