「花音ー、今日って暇?」
「ごめん、今日は……」
放課後、鞄に荷物を詰め込んでいると、いつものように寄ってきた瞳。
きっと遊びであろう誘いを断ろうとすると、
「あ、もしかして彼氏とデート?」
こっちが全部言う前に、にんまりと笑って返された。
「だからデートとか、その言い方やめてってば」
「じゃあ何て言えばいいの?」
「それは……」
用事……とか?
頭の中で考えながら、声には出さない。
だって、何だかそれも違う気がする。
「ほら、やっぱりデートなんじゃんー」
口ごもるあたしに、からかうように言う瞳。
「最近さ、会ってる回数多くない?」
心なしか嬉しそうに聞く瞳に「そんなことない」と返すけど、本当はそんなこと……ある。
サッカー部の練習もあるから、さすがに毎日とは言わないけれど、ここ最近圭太くんと会う回数は増えていた。