気付いたときには、目の前に圭太くんの顔。

目を見開いてキョトンとするあたしに、


「……じゃあ、おやすみ」


圭太くんは小さく笑って、すぐに背を向けた。



ポツンと家の前に立ち尽くす。

残されたのは、ドキドキとうるさい胸の鼓動。
それから……。

そっと触れてみる自分の唇。


「……」


まだ鮮明に覚えている温もりと、やわらかい感触……。


「まっ、て……」


遠ざかる圭太くんに足を止めて欲しいわけじゃない。むしろ、止めてほしくない。

だけど、待ってと溢れた声。

それは圭太くんへじゃなく、気付いてしまった自分に対して。


待って、待って、待って……。

直前の熱っぽい彼の表情が頭から離れない。


「っ……!」


やっとあたしは後ずさって、顔を赤く染める。


さっきのは、キス……。

圭太くんにキス……された……。