「これ、すみれ……?」
特別花に詳しいわけではないけれど、名前くらいはわかる。
可愛らしい花のかたちはそのままに、全体を覆うように付いた白い粒。
甘いパンケーキのクリームに乗っているくらいだから、それはきっと砂糖だと思った。
実際、その通りだったみたいで。
「数量限定なんだけどさ、この砂糖漬けの花のケーキが有名らしくて」
「へぇ……」
いかにも女子が好きそうだもんなぁ……。
「これ見た瞬間、蜂谷にピッタリだと思ったんだ」
「え?」
「名前に花入ってんじゃん?……花音、って」
「っ……」
名前をただ、呼ばれただけ。
呼ばれただけ……なのに、不意打ちだったせいかドキッとした。
「苗字と合わせると、オレンジっぽい花のイメージだけど」
とか何とか、笑いながら言ってる圭太くん。
やめてよ……。
そんな顔して、あたしの話しないでよ。
「そっ、それで?まだ聞いてないんだけど」
これ以上話を聞いていられなくて、わざと話を逸らした。
と言っても、ずっと気になってはいたのだけど。
今日どうしても一緒にいたかったと言った、あの意味が……。



