ハチミツみたいな恋じゃなくても。



駅前の大きなショッピングモール内にある、映画館。

日曜日ということと、いくつか新作が公開されたばかりということで、チケット売り場から多くの人で賑わっていた。


「ええと……2時ちょうどのがあるけど、それでいい?」

タイトルと上映時間、それから座席の空き具合が表示された電光掲示板。

それを見上げて、圭太くんが問いかける。


「うん、あたしは別にいいけど……本当にいいの?」

「ん?」

「だってこれ、恋愛映画だよ?」


圭太くんと約束していた映画。
それは、ベッタベタな恋愛ものの邦画。

しかも少女漫画が原作で、どう考えても男子が進んで観たがるようなものじゃない。

それなのに……。


「蜂谷、この漫画好きじゃなかったっけ?」

「え?」

「中学ん時、めっちゃ勧められて読まされた気がするんだけど」

「そうだった……?」


正直あまりよく覚えていない。

だけど確かに中学生の頃、すっごくハマった漫画だったのは間違いなくて。

言われてみれば、色んな友達に勧めて貸したような気がしないでもない……けど。