ハチミツみたいな恋じゃなくても。


***


あれから、投げ捨てたブラウスに袖を通してスカートを履き、カーディガンを羽織って家を飛び出した。

髪の毛は適当に緩く、少しだけ巻いてみた。


「っ、はぁっ……」

待ち合わせの駅前。
到着してスマホで時刻を確認してみると、約束の11時になったばかり。


ええと、圭太くんは……。


別に走って来たわけじゃないけれど、6月に入って気温は上がり、少し早歩きしただけでも暑くて息が上がる。

あたしは手のひらでパタパタと顔を仰ぎながら、彼の姿を探した。


結構急いで来たけれど、まだ来てなかったらどうしよう。
いや……圭太くんだし、遅れて来そうな気がする。

無駄に急いでしまったかなと思った……そのときだった。


小さな噴水の前に、見覚えのあるシルエット。

『あっ』と気付いて近付いていけば、彼の前には同い年くらいの女子が3人いた。


「えー、だから誰? 誰を待ってるの?」

「彼女」

「嘘だー! 中村くん彼女いないって言ってたじゃん!」

「それが出来たんだよね」