どうせ、あたしの方からは別れたり出来ないんだから。好きなんて言わずに、一方的に縛り付ければ良かったのに。
その方がずっと圭太くんらしかったのに。
そして、その方があたし自身も……。
なかなか聞こえてこない返事に、そっと顔を上げてみる。
すると、圭太くんは少し寂しそうな顔をしていた。
だけど、それは一瞬。
すぐにフッといつものように笑って、
「同じ“付き合う”でも、気持ち伝えてんのと伝えてないのとじゃ、全然意味合い違うでしょ」
そう言ってきた。そして、
「絶対、好きにさせるから」
あたしの耳元へと顔を寄せ、囁いた圭太くん。
「っ……!」
思わぬ不意打ちにあたしは顔を赤く染め、
「残念ながら好きにはならないっ!」
再び歩き始めた彼にそう叫んだ。