ハチミツみたいな恋じゃなくても。



「あのとき、朝日の前で付き合うことにしたって言ったの、蜂谷だよね?」


笑顔はそのまま、一歩またあたしに詰め寄る圭太くん。


な、なに……。
その笑顔、すっごく怖いんだけど!

縮まった距離をまた広げようと、あたしは後ずさろうとする……けど、


「人のこと利用するだけ利用しておいてさ、俺の気持ちわかったら捨てるとか、酷くない?」

「……」


パシッと腕を掴まれて、やっぱり笑顔で言われた。その表情と言葉に、血の気がサァーッと引いていく。


圭太くんが掴みどころのない、意地悪な人になっていたのは知っていた。

だけどまさかここまでとは思わなかった。


「……もしかして最初から、これが目的だったの?」

「これ?」

「あたしと付き合うこと……」


もし、ここまで仮定して行動していたのなら、圭太くんは相当な策士だ。

でも、


「ははっ、まさかー。こうなったのは、ほとんど成り行き。誰かさん、勢いで告白したり女の子泣かせたり、全く予想出来ない行動するし」

「っ……!」


ドカンと大きな石を頭に乗せられた気分。

それ絶対馬鹿にしてるよねって、睨み返そうとした、そのときだった。